FC2ブログ

寿し おおはた @その29 (鮨:北新地) 驚きの鮮度を保つ

どうも、アルベルト・アインシュタインです。
愚者と天才の違いは、天才には限度があることだ。

ip1804-IMG_3120.jpg 
美味い鮨を喰うため。

働くモチベーションは、最近もっぱらこれである。
鮨が喰えなくなったら、働くことも出来なくなる。

さて、今宵も「おおはた」で働いた甲斐を満喫しよう。

ip1804-IMG_3121.jpg 
突き出しは、ホタルイカの漬け込み。

巷間よくあるツマミと少々侮ったら、一口食べて驚いた。

ムッチリ太った身は、ふくよかさと張りが些かも損なわれず、
身の甘みやワタのコク味を十二分に堪能しつつ、旨味が深まっている。

試行錯誤が趣味なのかと思える親方だ。
突出しひとつとっても、訪問の度に驚きの鮮度を保っている。

私や解答ルパン先生など何人かの鮨喰いは、ツマミをほぼとらず、
いきなり握ってもらうお任せが定番化した。

なので、普通にお店に行けば、この後も美味いツマミが数品続く。
鮨に特化したい面々の、特殊例だと改めて言っておく。

ip1804-IMG_3122.jpg 
さて、握りは真鯛からである。

明石の鯛をワインセラーで1日寝かして握る。
一段深まった旨味に、香り芳しく、歯応えも損なわれていない。

素晴らしい鯛の握りだ。

江戸前の昆布締め技法は、白身魚の旨味増幅に大変有効な技法であるが、
いささか昆布の主張が五月蠅くなりがちで、質・鮮度とも極上の関西白身、
その代表格たる明石や淡路の真鯛には、風味添加がいささか強すぎる。

かつて大畑親方は昆布を当てて数分だけ押す、瞬間昆布締めを編み出し、
ちょうど良い分量だけ昆布の恩恵を受けつつ、真鯛本来の味わいを些かも喪失させず、
また活かった身の歯応えも完全に維持する、という離れ業をやってのけた。

テレビで鮨喰いとして高名な早川光氏に絶賛された技法であったが、
もうこの技法には別れを告げている。

研ぎ澄ませた出刃でサク取りした真鯛はワインセラーで寝かすが昆布は当てない。
白酢を使う酢飯の調整時に、昆布出汁の風味を少し忍ばせておく。

これにより、昆布締めのネガティブ部分にまったく影響されることなく、
昆布風味をチラリと添加することで、真鯛握りを一段美味くする。

ip1804-IMG_3123.jpg 
2カン目は、春らしくサクラマス。

サッパリとした旨味に、口どけが良い脂はサラリと軽く、
おろし生姜の香りと辛みが全体に上手く馴染み、美味い。

昨年早春から「おおはた」は3種の酢飯を使い分ける。

白酢と昆布出汁で調整する「白」。
赤酢と白酢で調整し、「白」の誕生により白身のフォローを外した「ロゼ」。
赤酢と塩だけで調整し、砂糖を一切配した「赤」。

「赤」の方向性も昨今の関西鮨屋では雨後の筍のように増殖しているが、
「赤酢こそ江戸前、赤酢でなければ江戸前じゃない」といった愚かな信仰に陥っている、
筍たちとは考え方が根本的に異なる。

「新ばし しみづ」など江戸前名店の赤酢酢飯に感銘を受けつつも、
白身やイカといった淡白なタネにはどうしても酢飯の風味が強すぎる。

白身を重視しない関東と違い、関西で白身を重視しないわけにはいかない。

親方は関西の至宝である白身との相性を徹底的に探究した。
白身をフォローした「旧ロゼ」も完成度は高かったが、そこに満足せず、
ついに「白」を完成させ、現在の布陣を整えた。

「赤」もタネ質との相性を念頭に、いささかまろやかさ、しなかやさを持たせており、
赤酢をツンツン香らせるのを最上と盲信する筍たちとは一線を画す。

だからこそ「赤」も、「しみづ」などに比べれば塩梅は少々大人しい。
それこそが、関西の鮨屋たる立ち位置を忘れず、誇りを持ち続けている証とも言えよう。
闇雲に塩梅を江戸に合わせれば良い、という訳ではないはずだ。

ip1804-IMG_3124.jpg 
今回は、いつも以上に饒舌のようだw

さて、鰯である。
「鮨 太一」の鰯に私が感銘を受けたのを覚えていて、それを再現したという。

おお、素晴らしい締め仕事。

ip1804-IMG_3125.jpg 
明石のアマテガレイ(マコガレイ)。

ここしばらくは常磐のマコが安定して良かったので使い続けていたらしいが、
明石の魚屋が本気になったのか、俄然素晴らしいのが届くようになったという。

たしかに、弾力のしっかりした身を噛みしめると、
サッパリとしながらも力強いカレイらしい旨味がじんじんと染み出てくる。

ip1804-IMG_3126.jpg 
ここからはお楽しみの本マグロ食べ比べ。

まずは5日熟成の銚子産。

フレッシュな酸味と血の香り。
春マグロらしくサッパリと美味い中トロ。

ip1804-IMG_3127.jpg 
続いては、鹿児島マグロを限界の15日間寝かせ。

円熟の芸域と言いたくなってしまう美味さだ。

錬れて妖艶さを纏った旨味・コク味。
艶めかしい鉄の香りと言おうか、深い香りが芳しい。

ip1804-IMG_3128.jpg 
ここでサヨリを握る。

中に挟んだ、色鮮やかな車海老のオボロがまた美味い。

ip1804-IMG_3129.jpg 
銚子の大トロ。

ip1804-IMG_3130.jpg 
鹿児島の大トロ。

銚子のトロも美味いのだが、深みという点で鹿児島に圧倒的軍配。

筋の部分が舌先に当たっても、熟成で十分柔らかくなっており、
サッと溶けていく。

この際に舌鼻を刺激する脂の甘み、深い旨味、妖艶を極めた香りがたまらない。

ip1804-IMG_3131.jpg 
齢九十を超えた大名人・小野二郎が著書で「握りの横綱」と評したコハダ。
マグロが「鮨の王様、鮨屋の看板」との対比で、実に上手いことを言う。

生のままでは出せず、煮ても焼いても美味くないコハダ。
鮮やかに捌いて、塩をして、酢で締めると江戸前の顔たる鮨ダネになる。

江戸前の象徴だからこそ「関西で美味いコハダを出す」ことに親方は熱意を注いできた。

脂乗りの良さを物語る身の厚みに、身の密度も濃いというか詰まっている感覚がある。
素晴らしいタチのコハダだ。

コハダは締めが緩いと生臭くて食べられたものではない仕上がりになるし、
締めが強すぎると塩または酢の尖りで、マグロ脂のリセット役以上のポジションには立てない。

鮮明な塩梅でしっかりと締められているが、最後にまろやかさを感じさせる仕事。
美味い。

酢飯もそうだが、おおはたは江戸流の強めの塩梅を基本にしつつも、
糖で微かに甘みを加えたり、出汁の旨味で「まろやかさ」を持たせる。
関西が土台だからこそ、このポイントを決して疎かにしない。

ip1804-IMG_3132.jpg 
ノドグロ。

誰もが好きになる美味い脂。

ip1804-IMG_3133.jpg 
カスゴは皮目が柔らかく、スルリと入ってくる。

淡白な旨味に、丁度良い塩梅の締め。
オボロの優しい甘さが加わり、春らしい美味さ。

ip1804-IMG_3134.jpg 
鰹は千葉だったか。

ip1804-IMG_3135.jpg 
キスの昆布締め。

ip1804-IMG_3137.jpg 
この店では珍しく、赤イカ。

細かい包丁目で柔らかくなり、舌触りも滑らか。
上質の甘みを持っており、美味い。

ip1804-IMG_3138.jpg 
スミイカは歯切れの良さ、軽い甘み。
パリパリ感がありつつ、柔軟さを併せ持ち、酢飯に寄り添う。

赤イカも美味いが、イカ握りはスミイカがやはり良い。

ip1804-IMG_3139.jpg 
ほっき貝。

ip1804-IMG_3140.jpg 
大ぶりの生鳥貝は愛知産。

ツルンとセクシーな舌触りに、上品な磯の香りと、
強い甘み。

春の大好物。

ip1804-IMG_3141.jpg 
赤貝は、山口産。

立派なサイズで厚みも十分。

サクサクと噛みしめるごとに、潮風が吹き抜けるような磯の香りの心地よさ、
赤貝らしい旨味もたっぷり備えており美味い。

ip1804-IMG_3142.jpg 
ヒモも立派なサイズ。
より強い歯ごたえと、磯の風味を愛でる。

ブランド産地だった名取市閖上は不漁続きのようだが、
西日本の貝がなかなか素晴らしく、まったく困らないのは嬉しい。

ip1804-IMG_3144.jpg 
鶴八流の違法建築海胆w

強い酢飯と合せるには、これが実に理に適っている。

ip1804-IMG_3145.jpg 
車海老。

ip1804-IMG_3146.jpg 
むっちりとした対馬の穴子。

溶けるような柔らかさに煮上がっているが、
一方でこのムチムチボディもしっかり堪能できる。

脂の甘みもさることながら、旨味が実に濃く、香りも良い。
旨味と香りの余韻が長い穴子だ。

ip1804-IMG_3147.jpg 
ルパン先生流の「表面積問題をクリアしたトロ鉄火」。

円熟の鹿児島マグロのトロがたっぷり。
酢飯よりもトロが多い贅沢な細巻だ。

ip1804-IMG_3148.jpg 
敢えてすり身を用いない、クリーミーな玉子焼とリンゴで締め。

何度通っても、驚きがある。
完成形を見たかと思っても、試行錯誤は続けられ、また上回ってくる。

飽きさせず、驚きの鮮度を保つ。
楽しいね。

【訪問時期:2018年4月前半】

-------------------------------------------------- 

↓ブログランキングバナー、よければポチッと押してください↓ 


食べ歩きランキング

食べログ グルメブログランキング

にほんブログ村 グルメブログ 関西食べ歩きへ  

【過去記事】 
その22 ・・・ 超絶の穴子
その23 ・・・ 第三章の幕開け
その24 ・・・ 真鯛
その25 ・・・ シンコ・コイカ
その26 ・・・ 大間比べ
その27 ・・・ 大阪におおはたあり、と胸を張りたい
その28 ・・・ この鮨を喰うために、我は働く


寿し おおはた
 


関連ランキング:寿司 | 北新地駅大江橋駅西梅田駅



スポンサーサイト

4 Comments

どりる  

楽しみなんです!

おはようございます。

酢飯が3種類。更に進化中というのが、凄いデスネ!

コチラのブログに感化されて、この間のGWに「鮨 太一」に行って参り、赤酢飯が美味いと驚いたところです。
赤酢飯って、某きずな さんのキツいので辟易としていたので凄く美味しく感じました。(友達の話では、最近、某きずな さんの酢飯の味が変わっているらしいのですが、、、良く知りません)

7月半ばぐらいにコチラの おおはた さんに初めて行くので、楽しみです。

2018/07/02 (Mon) 06:33 | REPLY |   

明るい農村  

毎回毎回の進歩が止まりませんね。

2018/07/02 (Mon) 07:08 | REPLY |   
ま~くん

ま~くん  

Re: 楽しみなんです!

>どりるさん

コメントありがとうございます。

太一は美味くて居心地良く、値安い。
とても良い鮨屋でした。

おおはたの酢飯は今、最も好みの塩梅です。

2018/07/02 (Mon) 09:23 | REPLY |   
ま~くん

ま~くん  

Re: タイトルなし

>明るい農村さん

コメントありがとうございます。

この店は止まりませんね。
行くたびに新しい発見があるのは楽しいです。

2018/07/02 (Mon) 09:24 | REPLY |   

Post a comment