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京極寿司 (鮨:長浜) 長浜で三代根付く素晴らしき鮨屋

平日代休。
ふと思い立って長浜へ出かけた。

浅井久政・長政父子を滅ぼした後、その勲功によって、
羽柴秀吉は織田軍団の中で明智光秀に次いで城地を与えられた。

その地が長浜。
秀吉天下取りの始まりがこの地にある、という気がしてならない。

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昼餉は大手門通りにある京極寿司と決めてある。

観光地の寿司屋らしい大箱でテーブル席メインであるのだが、
7席のカウンター席には期待した鮨屋の空気が流れている。

昼酒としゃれ込み、握りお任せ15カン(6,000円)を頼む。

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親方は平目の昆布締めから握った。

紛うことなき江戸前の締め仕事、美味い。

三代目親方は、その名を全国に轟かせるすし善の門を叩き、
札幌、汐留で修業を積み、北陸の魚を覚えるためすし善の先輩が営む、
福井で江戸前を貫く店で修業を仕上げた。

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ノドグロ。

人気高級魚のノドグロはよく見かけるようになったが、
炙り加減が実にいい。

酢飯は赤酢仕事も覚えたが「長浜で三代やっている店なので、
変えたらいけないかなと思って」と祖父の代からの関西酢飯を捨てない。

私はタネに合った塩梅の赤酢酢飯を最近好むようになったが、
この考えは一つの卓見であって、非常に清々しい。

赤酢が江戸前の証明とばかり、タネ質との相性をおざなりにして、
やたら赤く酸っぱ辛い酢飯を喜んで出す最近の鮨屋よりよほど立派だ。

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北陸のカスゴ。

「あえて締めません」と言う通り、締めて皮目を柔らかくする当節流行の握りと違って、
皮目にしっかりと弾力がある。

そこへ柚子香がチラリ。
ああ、この仕事も美味い。

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サヨリ。

長浜は北国街道の要衝にして、琵琶湖水運の要。

魚介は北陸を基本として揃え、この日は水揚げがなかったが、
琵琶湖の天然ビワマスも常に置いて握る。

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ここで、茶碗蒸しが供された。
何と具はチーズだ。

チーズに魅せられ、単身フランスに渡って修業を積み、
実家の竜王の牧場で毎日休まずチーズを作り続ける女性職人、
古株つや子さんの「つやこフロマージュ」が底に入っている。

食べ進めると、チーズが段々混ざってきて、
この変化が面白く、そして美味い。

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鰯は軽く塩を当て、軽くりんご酢で締める。

脂の乗った鰯に爽やかで優しい酸味が加わり、美味い。

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鰹にも独特の仕事を施す。

藁火で焼き上げたいところだが、商店街のアーケード店舗ではそうはいかない。
そこでフレンチの技法を応用して燻す。

燻すといっても、鰹のタチと相談してから。
初鰹の爽やかな香りと、芳しい燻製香のバランスが実に良い。

千成寿司の保存食を狙ったかのような強い燻製香のついたヨコワとはまったく異なる。

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北陸の甘海老はねっとりと甘い。

「甲殻類は燻製香を消してもくれるんですよ」と親方。
なるほど、たしかにマグロの脂を流すコハダのような役割を見事に果たしている。

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ヅケは切りつけてから煮切りを塗り、昆布の上にしばらく置く。

鹿児島の小型の本マグロで、生だと幼い味だが、
こうすると一段美味さが深まる。

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本マグロは赤身と中トロのみを扱い、大トロは置かない。

観光地でテーブルのお決まりが多いだろうから、目玉飛び出るような仕入れ値の
生鮮本マグロの大トロなんて無理して築地から引っ張ることはない。

ただ、中トロの熟成や仕事には工夫を重ねている。

爽やかな血の香り、鉄分・酸の味わいがありつつ、熟れた旨味に、
脂の甘みも妖艶に。

この寝かした中トロを、敢えて塩で喰わせる。

これがたまらなく美味かった。

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良い鮨屋の親方らしい凛とした空気がありつつ、実に気さくで話好き。

鮨、鮨屋についての考え方が似ていることもあって、
初訪問に関わらず、大いに話が盛り上がり、興に乗って昼酒も随分楽しんだ。

なお、日本酒は滋賀の地酒のみを数種揃えている。

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コハダの塩梅も良く、美味い。

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ばい貝も見事な型・大きさ。

シャクシャキと噛み応えを楽しむと、強い甘みに、品のある磯の香り。
海苔も良いアクセントとなり、美味い。

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ほっき貝はさすがに北海道。

軽く炙ってあり、存分に甘みが引き出されている。

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この鯖が感動的に美味かった。

「ただの浅締めです」と親方は謙遜するが、鯖のタチにドンピシャに合った塩梅、
噛めば噛むほど美味さを増していくようで、さり気ない柚子香のアクセントも実に良い。

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蛤。

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「関西なので」と穴子は箱寿司に。

これはこれで美味いのだ。

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海苔の香りが海胆と喧嘩する、と軍艦巻にしない海胆握りがやたら流行した時期がある。

だが、海胆と海苔は相性は悪くない、
いや、むしろ好相性といっていい。

ただ、海苔の香りが強すぎると海胆の風味を圧迫することはたしかにある。

そこで親方は試行錯誤した。

海胆を乗せる台の酢飯に海胆を混ぜ込む。
海苔は軍艦にせずに敷き、食べ手が巻いて食べる。

江戸前正統からは邪道ではあろうが、海胆の魅力を存分に楽しめ、
海苔のパリパリ感がいささかも喪失されず、そして相性の良さを堪能できる。

美味いものは美味い。

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玉子が出て、後は自家製デザートでお任せは終了となる。

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まだ終わりたくはないとカスゴ。

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鯖も食べておきたい。

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鉄火巻。

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自家製抹茶のデザートも抜かりなく美味い。

鮨は美味い。
親方はじめ、スタッフの気配り、対応も素晴らしく、
居心地が良い。

帰りがけ親方が「毎年GW明けぐらいに小鮎を締めて握るんですが、結構評判で」
と悪魔の囁き。

長浜は近くはないが、また来ようかな、いや来たい。
少なくとも小鮎握りは喰わないと。

と嬉しい悶々を心に抱きつつ、店を後にした。

【訪問時期:2018年3月後半】

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