鶴八分店 @その4 (鮨:新橋) 実直・不器用、楷書の美味さ

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此度の江戸もいよいよ最後。
通算4度目の訪問となる「鶴八分店」だ。

17時の開店の少し前に到着し、暖簾が掲げられるのを待つ。

入居するニュー新橋ビルは大阪駅前ビルを遥かに上回るカオスなビルで、
地下の飲食店も、地上のマッサージ店も中国人客引きが異様にパワフル。

「鶴八分店」と師の「新橋鶴八」の間にマッサージ店があり、
案の定客引きが寄ってきて腕を引っ張る。

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突き出しは、タイラギの炙り。

小柱と同様、縦の繊維が心地よい貝。
サッパリとした甘みと、香ばしさが美味い。

酒を頼み、ツマミもしっかり楽しもうと思ったが、
昼の「鮨 太一」で13時までたっぷり楽しみ、今はまだ17時。
ツマミと握り両方を目一杯楽しめる腹具合ではないので、もう握ってもらう。

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スミイカ。

「新ばし しみづ」と同様、サイズ大きく、酢飯も多い男鮨。

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平目は昆布締めではなく、生。

兄弟子の「しみづ」と酢飯の方向性は同じに思える。
だが、酢の加減は「しみづ」がひと目盛り強い。

そのため、イカや締めていない白身は分店の酢飯の方が合っている。

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サヨリは間違いなくカンヌキだろう。
淡白な白身であるとはいえ、噛むごとに強い旨味が湧き出てくる。

サイズも大きいからか、皮目にある独特の香りも強く、
かすかにクセに感じる。

「鮨 太一」のようにオボロをかませても良いかもしれない。

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立派なサイズで、申し分のない厚み。

サクサクと噛むごとに、芳しい香りを堪能でき、
惚れ惚れするような旨味も備わっている。

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みる貝。
反り返りがちなタネだが、上手く酢飯に沿わせて握ってある。

独特の歯応えに、強烈とも言える香りに、甘み。
美味い。

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素晴らしい脂の乗りと、濃い旨味。

前日の「しみづ」と同水準の美味さ。

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ヅケは、湯霜にするクラッシックな技法。

間違いのない古典の美味さ。
保存のための否応なしの仕事ではなく、美味さを追求する積極的な技法。

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やはり「鶴八分店」の鯖は、絶品なり。
「しみづ」「太一」の鯖もべらぼうに美味かったが、それを上回ってくる。

これは酢飯との相性だろうか。

鯖の脂の乗り自体は「しみづ」「太一」の方が上回っているが、
酢飯の酸味も若干強い。

わずかに穏やかな鯖の脂と、少しまろやかな酢飯。
この相性によって、超絶の鯖となったのか、と推測する。

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毎度、脂のしっかり乗った厚みのあるコハダが安定して出ることに驚く。

塩と酢の加減、塩梅で味の大半が決まるタネではあるが、
身に厚みがあって、脂が乗っている方が俄然美味い。

噛み締め、脂が溶け出し、青魚らしい旨味が増幅したところで、
塩と酢によって味がビシッと締められ、整う。
脂があることで、酸味も尖らない。

美味いなあ。
こういうコハダは、大阪ではなかなかありつけない。

もっとも少し前まで大阪人は見向きもしていなかったタネ、
そもそも歴史が違うということだろう。

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カツブシ入りの蝦蛄。

細い蝦蛄でカツブシ入りだと、そのホクホク感だけ楽しむことになるが、
太くて分厚い蝦蛄で、身の美味さも堪能できる。

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この店の蛤も美味い、見事な漬け込みだ。
また「しみづ」よりも少し濃いように思える煮詰めも美味い。

昼は「鮨 太一」のあっさり目の煮詰めも美味いと感じた。
私の味覚なんていい加減なものだ。

でも、美味いんだから仕方がない。

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この店のイクラも、魚卵の持ち味を活かした味付け。

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穴子はとろけるように柔らかく、何とも妖艶なむっちりボディ。
柔らかさと脂の甘みだけでなく、穴子の旨味も極めて濃厚。

梅雨時期から夏が一般的に穴子の旬。
日本各地で水揚げされるため、通年楽しめるタネではある。

五十嵐親方は「脂が弱くなるから」と2~3月あたりは置かない予定らしい。

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大星サイズの小柱。

縦の繊維を歯で楽しみ、舌でさっぱりとした甘みを、
鼻で品のある磯の香りを楽しむ。

美味いなあ。

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師「新橋鶴八」と同じてんこ盛りの流儀。
船体(海苔・酢飯)より、上部構造物(海胆)が大きな船のごとく。

幸せだ。

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締めは、鶴八伝統の鉄火巻。
「しみづ」では食べなかったが、この流儀なのか。

赤身、中トロ、トロをたっぷりと巻いた、
もはや太巻きといって良いレベルの鉄火巻。

細かいことは抜きにして、これを頬張り、
口中をマグロの旨味と香りで満たせば、そりゃあ幸せさ。

五十嵐親方は柔和で緊張を少しも強いないが、寡黙な人。

この日、私を含めたカウンターに並ぶ客があまり話しかけなかったので、
とても静かな空間だった。

もちろん、それが悪いことではない。
決して無愛想とは違う。

ただ、この方は実直かつ不器用なんだろうと思った。

その点、兄弟子の清水親方は強面ながら気さくで、客あしらいが上手い。
さすが一日の長というか、鮨屋のオヤジとしての色気は兄弟子に軍配か。

会計を終えて出ようとすると、忙しいのに相変わらず表までお見送り。
「そんな、わざわざいいですよ」と恐縮しつつ、少し嬉しい自分が居る。

何だかんだで、五十嵐親方が、この人柄が好きなのかな、と改めて思った。

<江戸下向 平成29年>
東京駅 斑鳩 (ラーメン:東京駅)
新ばし しみづ (鮨:新橋)
新橋焼きとん 浅草橋店 (焼きとん:浅草橋)
文殊 馬喰横山店 (立ち食い蕎麦:馬喰横山)
鮨 太一 (鮨:銀座)

【訪問時期:2017年11月後半】

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【過去記事】
その1 ・・・ 受け継がれる正統美味
その2 ・・・ 塩蒸しの素晴らしさ
その3 ・・・ 江戸の拠点





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2 Comments

明るい農村  

流行に流されず、新しい物を取り入れつつ、軸足が全くぶれないこの店が大好きです。

2018/01/25 (Thu) 06:40 | REPLY |   

ま~くん  

Re: タイトルなし

>明るい農村さん

コメントありがとうございます。

ぶれないですよね。
飄々とした感じといい、好きですね。

2018/01/25 (Thu) 07:36 | REPLY |   

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