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毎度毎度のあるある詐欺。
ただし、劣化する一方。

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鶴八 分店 (鮨:新橋) 受け継がれる正統美味

昼に、弁天山美家古寿司で江戸前伝統の素晴らしさを味わった。

その余韻を噛み締めつつ、上野で立ち呑みを少し楽しみ、
浅草橋にとった宿で少し休憩し、夕方になって新橋へ。

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店があるのは、ニュー新橋ビルという新橋駅前の雑居ビル。

待ち合わせより前に着いたので、少しビル内をぶらつく。
大阪駅前ビルも大概混沌としたビルだが、このビルはさらにカオス。
とくに、マッサージに呼び込もうとする中国人女性のパワーが凄まじいw

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目的地は、鶴八 分店。

名店のHOMEを持ちつつ、東京の名店を食べつくしている、
我が鮨道の師、Iさんが「最近とにかく握りが美味いと思った店」と言うからには、
それは期待が高まるというもの。

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カオスビルに突如現れる、小ざっぱりした店。
1枚戸を開けて中に入ると、先ほどの喧騒が信じられないほどの落ち着いた空間。

そして、店は昨年9月のオープンだが、五十嵐親方はルーキーとは思えぬ佇まい。
さすが、新橋鶴八・石丸親方の下で、18年間みっちり修業しただけのことはある。
わずかな修業や独学等々で店を構えているのとは、やはり顔つきが違う。

ちなみに、師の店・新橋鶴八は2軒隣にある。

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冷酒を頼むと、突き出しにホタルイカが出された。

醤油などは掛かっていないが、むっちりした身は旨味濃厚で美味い。

鶴八一門の伝統名物、鮑の塩蒸しがあれば、それだけツマミに頼もうと思っていたが、
この日は鮑がないとのことなので、ツマミをとらず、握ってもらうことにする。

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イカ。

まず、酢飯の美味しさに驚いた。
昼の美家古も美味いと思ったが、さらに上回ってくる。

固めに炊いた米で、お江戸らしい、しっかりした塩梅だが、どこかでまろやか。
関西の大切な何かを間違った赤酢使いとは違う、強くも優しさのある酢飯。

ほぐれも抜群で、口中に放り込み、ほぐれていく間に、
タネと酢飯の旨味が丁度良い具合に絡み合う。

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平目。

これもタネと酢飯の一体感が極めて秀逸。
ぴったりと寄り添い、1+1を2ではなく、3や4へと昇華させるが如く。

そうか、これが鮨というものか。

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コハダ。

酢がじんわりと効き、塩もしっかり効いている。
昨今の関西もコハダの締めは強まったが、酢勝ちに感じるところが多い。

大ぶりで、厚みあるコハダで、しっかりと脂が乗っている。
だからこそ、この締めでビシッと決まり、渾然一体の美味さになるのか。

コハダをどこか「マグロ脂の口直し」に捉えてしまっていたかもしれないが、
この1カンは違う、たしかに「握りの横綱」とも思える味だ。

本当に美味しい。

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鯖も絶佳だった。

でっぷりと肥え、脂をたっぷり溜め込んだ鯖自体の美味さもあるが、
締め加減と、そして酢飯との相性があまりにも抜群なのだ。

ガリを挟むわけでも、白板昆布を乗せるわけでもなく、昔ながらの仕事だ。
ただただ締めた鯖と酢飯、山葵だけで奏でる美味の協奏曲。

台が大切なのだ、台とタネとのバランスが全てなのだ。

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ヅケ。
こちらも湯霜を施すクラシカル。

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トロ。

マグロ自体は特筆すべき上物では決してない。
関西でも築地から引っ張るなどして、この店より上質マグロを出す店は少なからずある。

それでも、美味しい。
よく云われる「鮨の味は、タネ四分にメシ六分」はやはり金言なのだ。

そして、酢飯の味は塩梅を尖らせればいい、というものではない。
タネ質と相談して、という一見当たり前のことが、いかに大事で、いかに難しいか。
マグロ握りで、痛感させられた。

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赤貝。

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鳥貝。

軽く湯がいてある大ぶりの鳥貝は、舌触りが実にセクシー。
歯切れの良さと、甘みの強さが同居し、これまた酢飯との相乗効果が大きい。

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酒の合間に水を頼むと、こういうのが。

この店は、酒飲みにも寛容。
「鮨は茶でないと」という無言の圧力はない。

ちなみに、師の店と同様、握りに煮切りは塗らない流儀。
小皿に醤油を入れて、ちょいと付けて食べる、昨今では珍しいスタイルだ。

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イクラ。

新橋鶴八の師、神田鶴八の師岡親方はイクラを置かなかった。
新橋鶴八の石丸親方は「(師岡)親方から習ったものだけ」をタネとして置くが、
子供を中心に人気の高くなったイクラと海老だけが例外ダネだという。

その石丸親方に18年仕えた五十嵐親方だから、当然イクラを置く。

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海胆。
こぼれんばかりの軍艦巻が、一門の伝統。

「1カンでバフンウニとムラサキウニの両方を味わってもらいたい」
「毎日仕入れで、タネは翌日に持ち越さない主義なので使い切るため」
「海胆は仕入れて、乗せるだけで仕事を施していないので思い切って」
著書などでは、このような盛りがいい理由が語られる。

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食べてみて、この盛りが極めて合理的だと感じた。

海胆は口どけがとても早い。
まして人肌酢飯だと、口に入れた途端に海胆はサッと消え、
酢飯だけをモグモグする時間が1秒ぐらいある。

ところが、海胆がこの盛りだと、最後まで海胆、酢飯、海苔の三位一体が維持され、
とてもバランスに優れた1カンに思えた。

ちなみに、私は海胆と海苔の相性は良いと思うので、軍艦を否定しない。

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蛤の吸い物、実は豆腐。

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蛤。

火を通しても固くならず、ジューシーさを保つ。
蛤の風味がふんわり口中に漂い、そこへ程よい甘味とコク味のアメの味。

「東京で滅んだ真の江戸前を出す」と吹く、大阪市南部の某鮨屋の、
蛤の風味を抹殺する濃い漬け込み仕事とは全く違うし、薄味仕立てとも違う。

美味いなあ。

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穴子。

ふんわりととろける煮仕事、それでいて柔らか過ぎず適度な弾力もある。
とけていく際に嫌な香りが微塵もなく、余韻の残る程よい甘さ。

煮詰めも美味い。

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小柱。

海苔の香りが立ち上がると同時に、爽やかな甘味、
そして、キュッとした縦の繊維感。

これも酢飯が強すぎると、この甘味を減退させてしまうが、
そんなことはもちろんない。

美味い。

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蝦蛄。

厚い身は、ふっくらとしており、漬け汁を含んでしっとり仕上がっている。

蝦蛄の持つ少し荒っぽい旨味を漬け込み仕事で少し優しい方向へ修正し、
煮詰めで甘味を加えることで、何ともいえぬまろやかな旨味へ仕上げていく。

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まだまだ終わらぬと、注文を重ねる。

平目昆布締め。

生の良さを残しつつ、昆布の風味に軽くアシストをさせる締め加減。
香り良し、で美味い。

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本みる貝。

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蛸。

揉み込まれて柔らかく、それでいて歯応えを残した茹蛸。
醤油を付けずに食べる、これで正解。

塩茹での塩が強めなので、塩が効いており、
蛸の香りもいささかも減退せずに食べられる。

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鶴八名物の鉄火巻。
赤身・中トロ・大トロを豪快に巻く。

海苔巻の本来から言えば邪道なのかもしれないが、細かいことは抜き。
大きく口を開けて、ガブリと喰う幸せに勝る理屈なし。

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玉子焼。

こちらは、小柱のすり身で焼く。

第三春美鮨の訪問で、一種の感動を覚えたことはたしかである。
ただ、それは素材の美味さと、劇場とも称される親方のトークであったに過ぎない。

だからこそ、「このマグロや車海老は大阪では食べられないだろう」と思っても、
「鮨はマグロや車海老だけではないし」という考えも同時に起こり、
ただただ美味かったと思っただけで、それ以上の考えを持つには至らなかった。

第三春美の酢飯に、それほどの美味しさを感じていなかった、ということだろう。

美家古もそうだったが、変わったタネなど1つもない。
昔から受け継いできたオーソドックスな仕事が丁寧に施されているだけである。
加えて言えば、タネ質自体は大阪でも十分に手が届いている水準。

それであるにも関わらず、ツマミが欲しいとは露ほども思わず、
握りをいつまでも食べていたい、と渇望する境地に至った。

少なくとも、これほど酢飯が美味しく感じ、これほど一体感のある握り、
というものを私は経験したことがなく、嘘偽り無く衝撃的であった。

柳橋美家古鮨・加藤博章、神田鶴八・師岡幸夫、新橋鶴八・石丸久尊、
そして鶴八分店・五十嵐寛和。

素材重視型や劇場型とは違う、タネに仕事を施して美味い鮨を握る。
綿々と引き継がれてきた江戸前伝統の仕事。

歴史を積み重ねた江戸の食文化であり、軽々に関西が真似のできるものではない。
すなわち、江戸の鮨と上方の鮨は違うカテゴリに分類されるべきものだ。
そう痛感し、少し悲しくもなった。

だからこそ、関西の良さ、代表的なもので白身魚の美味さを完全に殺すような、
赤酢の間違った使い方をして「江戸前でござい」と嘯くような鮨屋に、
ハナから大きな違和感を感じていたのかもしれない。

恐ろしいことに、大阪で普段食べる店にほんのちょいと足せば、
この店の勘定になる。それも、酒も結構呑んでの話だ。

今後、金をいくら持っても、関西で2万を超えるような鮨を食べることはないだろう。
そんな大盤振る舞いするぐらいなら、都度東京へ遠征する。

とにかく、色々な意味で鮨に対する考え方が変わった1日だった。

五十嵐親方は無駄口はきかないが、物腰は柔らかい人。
2軒隣の師匠が隠退すれば、おそらく新橋鶴八の2代目を継ぐだろう。
鶴八の伝統継承は安泰である。

昨今の風潮に比べれば、大振りの男鮨。
一切奇を衒わず、ただただ実直な飾らない美味に、感動した夜。

【訪問時期:2015年3月後半】

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コメント
9689: by タケ on 2015/08/26 at 09:55:28

そっかーお江戸となにわじゃそんなに違うんだ
それしにしても美味そうだね
おすすが食べたくなったYO

9690:Re: タイトルなし by ま~くん on 2015/08/26 at 09:59:29

>タケさん

ちょっとショックなぐらいやった。

魚の質の差やないからね。
1カン目で「あっ!」ってなったわ。

9691: by 明るい農村 on 2015/08/26 at 12:20:57

ここの握りに出会い、握りの存在を見直しました。
また仕事の意味を教えてもらいました。
ここでは白身と塩むしと蛸と小鰭をつまんでから、お好みの握りを6~10貫と鉄火巻を楽しんでおります。

9692:Re: タイトルなし by ま~くん on 2015/08/26 at 13:46:50

>明るい農村さん

コメントありがとうございます。

ここの握りを定期的に食べられたら幸せだろうなあ、
と心底思います。

ぜひとも再訪して、塩蒸しを食べたいです。

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